2002年OPEN店DATA一覧
2003.2

 

 昨年に引き続き、新しくオープンした店を中心に2002年の名古屋周辺のラーメン事情を何回かに分けて振り返ってみようと思う。拾いきれていない店も多いと思うが、市内中心かつ話題になった店中心ということであしからず。また、前回同様げそ天さんの「名古屋麺食い天国 」のメーリングリストや各ラーメン掲示板他、ネット内外問わず各所からの情報を参考にさせてもらった。情報に誤り等あれば、メールにて指摘頂ければ幸いである。

1.名古屋外有名店の進出
 今年のトピックとしてなんといっても一番に上げられるのが、「博多 一風堂 本町通り店」(7月15日)の進出だろう。人気ローカルエリア情報番組『P.S.』での一年以上にも渡るパブリシティを始めとした心憎い程に微細と思われる進出プランが功を奏してか、オープン以来、大行列状態が続いている。
 また、支店・チェーン展開をする全国的なラーメン店のもう一方の雄「むつみ屋」も小牧店(3月16日)・尾張旭店(4月26日)・栄店(8月2日)・新安城店(8月28日)と、愛知県に一気に4店の出店を果たした。
 京都を出発点に首都圏等にもチェーン展開をする「よってこや」もこの地方では先に四日市に出店していたが、「一風堂」のすぐ鼻の先に「栄本町通り店」(11月18日)をオープンさせ、真っ向勝負を挑んだ。こちらも「P.S.」にてオープニング・ドキュメントが放映され、知名度をあげた。
 他に「広島風元祖激辛つけ麺 とし 名古屋栄店」(7月20日)も含め、これらの店は名古屋の中心繁華街「栄」をターゲットにしてきている。従来この栄地域には、店舗数だけは多いもののわざわざ訪れたい気を起こさせるラーメン店が少なかった(特に日中)が、後でふれる「寿がきや」や「HAMASAKU」なども交え、突如注目を浴びる大激戦区に変貌した。
 また有名店の進出というのとは少し意味が違うが、年末の一番の話題となったのが「名古屋駅麺通り」(12月10日)。「一風堂」の河原社長をプロデューサーに迎え、名古屋の入り口ともいえる名駅新幹線口の真正面に、北海道「ほくと亭」、東京「えいふく町」、和歌山「きのかわ軒」、博多「がんがら堂」、沖縄「かまんた」と全国各地のラーメンを揃えた。これも大盛況となっている。

2.老舗および人気店の流れ
 1で述べたような名古屋外からの進出に対抗するように、「名古屋」のご当地ラーメンが待望され、またその声に呼応するかのように老舗が動きを見せた。
 名古屋で人気のあるラーメンとして常にまっさきに名前があがる「名古屋人のソウルフード」ことスガキヤは、高級志向店として名駅エスカで営業を開始していた「寿がきや」の路線を、一風堂出店にモロにぶつけてきた。その「寿がきや 栄カワイビル店」(6月6日)は、一風堂オープンの一月ほど前に、通りを一本違えただけの場所にオープンした。メニューのネーミングも「赤らーめん・白らーめん」等、充分にライバルを意識したと思わせるものになっている。安い・気軽がキーワードのスガキヤの流れと異なるという珍しさも手伝ってか評判を呼んだ。
 ファンの間では、まさに名古屋のご当地ラーメンとして認知度が高い「好来系」も、その総本山が遂に動いた。
 春岡の「好来」が2001年末でいったん店を閉め、それまでその店を担っていた方が本山に新しく「太陽」(3月12日)という店をオープンさせ、味を受け継いだ。一方、その春岡の跡地では創始者・楓さんが復活。以前の店をそのまま受け継ぎ、3代目となるお孫さんとともに「総本家 好来」(8月20日)として営業を再開させた。週4日間かつ昼のみ短時間営業と、食べるためのハードルが少々高いが、数度のマスコミ露出もあり、古くからの常連だけでなく新しい層からも人気を博していると思われる。
 老舗といえば、旭川らーめんの著名店「梅光軒」(8月28日)が、親しまれた池下バスターミナルからすぐ近所に移転し、リニューアルオープンしたことも付け加えておこう。
 人気店の流れとしては、「黄金塩ラーメン」が人気を呼んだ中華レストラン「CHINA°5」が、ラーメン専門店として「HAMASAKU」(6月26日)をオープン。尾張旭ラーメン街道の立て役者「龍月」も「龍月 本家梅森店」(6月6日)を出店した。
 また、名古屋の人気店として忘れてならないのは「本郷亭」であるが、そのスタイルや味に影響を受けたフォロワーとも云える店の開店も目立った。ひとつひとつ名前を挙げていくのはやめておくが「吉岡家」(11月15日)などがその代表格である。これらの店は「角煮風チャーシュー」「豚骨メインだが中でも白湯・醤油・味噌・四川と味を分けている」「ランチタイムご飯・漬け物フリー」等々の本郷亭の特徴を、そっくりあるいはバラバラに継承しているように思われ、横の繋がりは全くない筈だが、ひとつの勢力を築かんばかりである。ただ、現時点では成功しているように思われる店は幾つもないであろう。

3.新しい流れとその他のトピックス
 2までに述べたような大きな流れとは別に、新たな意欲的な店が続々とオープンした。その中の幾つかとその他のトピックを少し紹介して総括を締めくくっておこう。
 名店「三吉」が関わった店が何店かオープンした。これらの店は別に暖簾分けという形を取っているわけではなく、それぞれの成り立ちがあるようだ。
 年初には「はまゐば」(1月8日)が豚骨と魚系出汁のダブルスープという流行を取り入れてオープン。その味づくりには「三吉」のご主人の助言が大幅に取り入れられているという。同様に開店に際し「三吉」のアドヴァイスを受けたのが「こく家」(2月22日)である。パスタの粉を練り混んだ独自の極細麺や非常に繊細なスープで今後を期待させたが、その味が完成形を見る前に店主の事情で惜しくも2ヶ月ほどで閉店。その全く同じ地に同じ店名で、「三吉」で修行をした若い二人が開いた店が「こくや」(9月7日)である。この「こくや」は「三吉」の味の正統な後継者と云える味でスタートしているが、今後どういう成長を遂げるのか楽しみだ。
 これら以外にもオープン時に限らず、「三吉」がアドヴァイスを与えた店は幾つかあるようで、『P.S.』などでは「三吉系」などという言葉も使っていたが、一勢力として捉えるには、まだいろんな意味でまとまりにかけるようだ。

 秋口から年末にかけては、毎年新店ラッシュが続くが、今年は内容が濃かった。
 まさに彗星のように現れた「麺屋 如水」(8月19日)は、その素材へのこだわり振りやラーメンに対する真摯な取り組みで、開店そうそうにマニアのハートを掴んだ。マスコミ等での紹介が進むにつれ、一般の人気も広がっているようだ。
 また同じく注目株の「鶴三」(11月3日)は、東京スタイルのさっぱりラーメンで、三重だけでなくこの地方では珍しい味を提供してくれる。
 この節で紹介してきた新店は、どれもスタイリッシュな店舗設計(方法論は違えど)が成されているが、極めつけといえるのが「玉響」(11月30日)であろう。民家を改造し、竹を基調とした店舗デザインは、竹燻製チャーシューという味とも結びついている。思えば、この店の前身「河流」(5月5日)も、夜はクラブというハコの借り物だったとはいえ、巨大な水槽や極端に照明を落とした店内等、度肝を抜かされたものであった。

 他にも注目店は何件かあるが、紹介は一覧に譲ることにしよう。

 最後に年末にかなり驚いたトピックをひとつ。それは5月にOPENした「寺子屋」の店主が金銭トラブルにより殺害されたというニュースである。割烹の板前の経験があるというご主人がスナックの居抜きのままの店内で作るラーメンは、かなり独特のものであり、2度目に訪れることはなかったであろうとは思われるが、ご冥福をお祈りしておく。

 以上、だらだらと続けた総括をこの辺で終わりとしておく。