他業界でも同様の事であろうが、名古屋のラーメン界でも今年も様々な店がオープンし、また消えていった。判る範囲で調べてみたら思いのほか多かったので、今年を振り返りがてら、ちょっとまとめてみる事にした。オープン日は判るもののみ、名古屋市内中心で周辺部はフォローしきれてない部分が多いのであしからず。もちろん、筆者が未食の店も多い。
まず、年頭の話題店としては「前田家@師勝」(1月6日)が挙げられよう。「万楽」出身という事で評判を呼び、すぐに「P.S.愛してる」にも取り上げられ、「一風堂」の河原社長のチェックを受けることになった。
他にも今年は、詳細な関係(暖簾分け云々)に関しては不明だが、「万楽−トンチン舘」系統の味の店の開店が相次いだ。「平成屋@矢田」(6月)は、トンチン舘の四川らーめんに通じたものがあるごま辛麺が売りだが、標準の中華そばは万楽風味。同じく坦々麺がメニューにある「万福@京命」(7月6日)は、基本の中華そばを万楽よりも低価格に設定している。店のロゴや店内レイアウトも「万楽」との関係を強く打ち出している。どちらも食券制にバキューム式湯切り機がある。また、「臺大@万場大橋西」(9月7日)も「万楽」の味を意識した作り(実際には「万月」の流れ)のようである。
オープン間もないながら、各所で注目を浴びている有望店が数店存在している。
「草津亭@守山自衛隊前」(6月22日)は、元銭湯の変わりダネながら、自家製麺までこだわる本格派。既にTV出演も数回果たし、人気店への道を走り出した。「喜多楽@浅間町」(4月20日)は、「やよいそば」出身の店長が独自の味を追求し、新たに生み出した味が評判を呼んでいる。こちらも人気店になる予感あり。
厳密には今年オープンではないのだが「さとやん@如意申住宅」も今年半ば『発見』。驚異的な低価格とそれに似合わぬこだわりぶりが注目を浴びた。
いずれの店もラーメンに対する真摯な姿勢がこちらに伝わってきて、評判になるのも納得させられる。
他地方の有名店の出店あるいは暖簾分け店の開店も目立った。池袋の超行列店「大勝軒」の暖簾分けが岐阜にオープンしたとの情報は衝撃的だった。「大勝軒@岐阜」(2月)では、この地域ではまだ珍しかった「つけ麺」が伝統の味ほぼそのままに味わえる。
「まっち棒@千郷」(3月27日)は、東京発の和歌山ラーメンチェーンの初進出。TV等でもおなじみの有名店だ。また、「麺屋黒船@池下」(6月22日)は東京でも系列店を複数持つ「ちゃぶ屋」のFC展開。背脂+焦がしネギが特徴で、名古屋にはなかった味。
横浜の人気ラーメン家系としては「吉辰家@岐阜」(8月1日)。この地方としては昨年の「桜家@港区」以来の家系店オープンであった。
CBCの「そこが知りたい」絡みでオープンしたと思われる「上麺赤坂屋」(11月30日)は、東京「赤坂ラーメン」出身。
ほかに他地方のラーメンFCあるいはチェーンのこの地域初進出としては、「元祖じゃんがらラーメン」が3月と4月に内海・半田相次いでオープン。「麺道楽」としては黒川に1軒あるが「東麺房」としては初の、杁中(8月29日)さらに大須(12月15日)の2店。同様に「醍醐@名駅」はあるものの、「紅醍醐@森下」(3月1日)。「博多金龍@岡崎」(6月15日)、関西発の贔屓屋のラーメンチェーン「四天王@金山」(12月)等も進出。変わりダネでは、おそらく名古屋資本のチェーンと思われるが、関西からの逆輸入という形となった「総本家しなとら」も女子大、当知(4月?)、緑黒石(12月20日)と複数店舗進出した。
この地方の有名店の出店あるいは暖簾分け店も幾つかある。
まず、「好来」の開祖・楓老が直々に開店準備に携わったという「好来亭@平田町」(3月1日)は、味の評価は高まりつつあったものの、場所と値段が災いしてか半年程で休業、事実上の閉店であろう。
昨年、自身がオープンしたばかりの「がまおやじ」も女子大に店を出したが(4月)、こちらも半年経たぬうちに店を閉めている。
人気店「本郷亭」は名駅西(3月)に2階立てでオープン。「九州楼本店」も名駅(2月6日)に出店、他に神宮ラーメンの跡地にも出店(11月28日)しているが、泉店は閉店した模様。
「台湾ラーメン本山」も「台湾ラーメン藤ヶ丘」(5月8日)として、また「太平楽」も「豚平@栄3」(7月6日)として支店展開。「尾張ラーメン第一旭」は、東桜店(11月20日)を、「やまらんや」は名東店(2月10日)を、「黒田屋@豊橋」は駅前に2号店(11月1日)を、「サンキューラーメン」も八事店をオープンさせている。
辛味噌らーめんを売りにする「じゅんの蔵@東片端」(11月12日)は豊田の人気店「じゅんちゃんラーメン」の出身。
それ以外の新店をざっと眺めておこう。
まず、名古屋市内では、季節限定メニューなど様々なアイディアを打ち出す「キムラーメン@天神山南」(2月)、名古屋コーチンの素材を活かした「コーチン@有松」(3月)、激戦区にオープンしたライトなとんこつ「里芳@塩釜口」(4月2日)、開店後数ヶ月で既に味のリニューアルを図った「天ごくラーメン@星ヶ丘」(5月21日)、きしめんとラーメン「きしや@池下」(6月1日)、本郷亭を意識した白湯ラーメン「桂華@野並住宅」(6月16日)、中華出身で四川坦々麺が売りの「とことん@小幡」(7月20日)、一風堂・河原氏が開発に協力した嚆矢グループの新展開「CHINA5°@納屋橋」(8月1日)、濃い目のとんこつ「らーめん厨房
八海@喜惣治」等。
市外では、鶏殻豚骨醤油「豚翔亭@半田」(2月)、札幌人気店のFC「旭川らーめん平成軒@岐阜」(6月)、「一番カルビ」発大型店舗「丸源ラーメン@安城(4月?)@一宮(12月)」、濃厚な博多とんこつ「治朗@岐阜」(10月)、塩ラーメン専門店「ラーメン坂本@瀬戸」(10月10日)、この地方特有の昔ながらの中華そば「清吉@長久手」(12月12日)、「まる銀」出身「ばーばら@幸田」(9月)、無化調でこだわる「ラーメン工房 善の家@豊橋」、万人受けするとんこつ醤油「連山@三重県朝日町」(8月13日)等々、枚挙に暇がないほどだが、未食店も多いので詳しくは別の機会に。
一方、チャンポンがメインだったという「2001@御器所」(2月)、無化調を標榜し期待させた「はな茶屋@高針牧」(3月)や、「支那そばや」のレシピをアレンジしたという「伊勢路らーめん@桑名」(5月?)等は、先の「好来亭」や「がまおやじ
女子大店」同様、開店より半年経つか経たないかで閉店している。このうち「2001」の跡地にはとんこつラーメン「紅」という店がオープンしている。
以上、今年の新店を振り返ってみた。
今年は、年頭の『東海ウォーカー』のラーメン特集を皮切りに、マスコミ各方面に名古屋のラーメンシーンが取り上げられた。ご当地発のローカル情報番組も軒並み争うように「ラーメン特集」を放映。中には「三吉@萱場」のように、一躍マスコミの寵児となり、雑誌媒体TV媒体を問わず何度となく繰り返し取り上げられ、大ブレイクを果たした店も出現(もちろん実力が評価されての事だが)。
それとは別に、今年のトピックとしては、「つけ麺」と「冷やしラーメン」がそれぞれプチ・ブレイク。大きなムーブメントとなるまでは至らなかったが、これはまだこの地方のラーメン界自体が、ブームを抱え込む程の下地が出来上がっていないからとも云えるかも。
しかしながら、今年一年でそうした素地が出来つつあるような実感もあり、さらに高レベルの店が出現する予感を抱きながら、来年に期待したい。
なお、この記事は、げそ天さんの「名古屋麺食い天国
」のメーリングリスト他、ネット内外問わず各所からの情報を参考にさせてもらった。誤情報等の指摘があれば歓迎致します。
各店の所在地・営業時間等のデータの一覧はこちら。