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本のコト・アーカイブ
最近読んだ本 5~6月
- 2008年6月21日 23:37
読書の感想をまたずいぶんサボッてしまった。
溜めれば溜めるほど記憶が薄れていくだけなんだけどね。
ま、とりあえずここ1ヶ月ばかりの分からピックアップ。
注目を浴びてスタートした池澤夏樹版「世界文学全集」の第一弾ということで、青山南による新訳。
最初快調にすいすい飛ばして読んでいたのだが、中盤あたりから突然退屈になってしまい、どうにも乗り切れぬまま読み終えた。
広範囲に影響を与えた名作と評されるが、少なくとも僕には影響を与えなかったようだ。
宮沢章夫の文章は好きで、一頃は結構読んでいたのだがこのところはご無沙汰だった。
といっても、この本は文章ではなく講義録なのだが。
近年、オタク側から語られることの多い80年代を、一方の華であったピテカン系の立場から「かっこいい」面を中心に語り直したという趣向。
講義中、ちょくちょく大塚英志の『「おたく」の精神史』が引き合いに出されている。
YMO、スネークマンショー、宝島、岡崎京子等々、「なにもかも皆懐かしい」のだが、いかんせん当事者の自慢話(当人にそのつもりはなくても)に聞こえてしまうのみで、果たして宮沢が伝えたいという「かっこよさ」が、今の若者にちゃんと伝わるのかは疑問。
ちょっと前からディックを読み直していきたいと思っていたので、実行に移す第一弾。
おそらくディックを読むのは15年ぶりとかそんな感じ。
で、25年ぶりぐらいに読むこの作品は、ディックにしてはよくまとまっていると評される代表作の一編で、断片的にしか筋を覚えていなかったが確かにおもしろい。
でもなんかこじんまりとした印象だなあ。
サンリオ
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再読はもちろんだが、実は未読も多くて、そこら辺りも消化していこうと、まずはサンリオ文庫ディック第一弾のこの作品。
おもしろさは中ぐらいかな。
待ってましたのプリースト短編集だが、結論から言うとこの人の場合長編の方が好きだなあ。
とはいえ、表題作と「青ざめた逍遥」はよくできた時間SF短編だと思うし、ドリームアーキペラゴ連作に漂う不思議な雰囲気も忘れがたい。
集中三編選ぶとすれば、「青ざめた逍遥」「火葬」「奇跡の石塚」かな。
結構楽しめたし、スペキュレーティブフィクションに興味のある人なら当然買い、である。
まずまず面白く興味深かったのだが、途中『砂の器』を延々と論じたところがあって、未読なんで参ったなあw。
いまさらのベストセラーなんだが、ブックオフで1冊100円ならぬ3冊で100円でワゴンセールされていたので、思わず買ってしまった。
そこそこ楽しませてくれるだろうという期待のもと読み始め、まずまずその通りではあったものの、冒頭から中盤までが一番楽しめたかなあ。
後半は期待ほど盛り上がらない。
色川武大は一時集中して読んで虜になり、今でも大切な作家の一人である。
この書は残された夫人が在りし日の生活を追想し書き綴ったエッセイ。
色川作品でいえば『離婚』や『恐婚』はたまた『引越貧乏』あたりの裏側が描かれており、なにかと興味深い。
その夫婦形態はもとより、生活そのものがやはり並ではなかった、と改めて実感。
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久々にマンガ読む
- 2008年6月12日 23:37
どうも間が空いてしまうね。
あれこれ更新したいことはあるんだけども、ついつい。
本のコトも書いておきたいし(『限りなき夏』もちゃんと読んだ)、音楽のコトもあれこれ...。
ここのところは毎晩ちょっとずつ『20世紀少年』を読み続けている。

前にも書いたけどもこの10年以上、まっとうにマンガを読んでいないので珍しいんだけど、このマンガはずっと気にはなってたのよ。
ま、映画公開も間近みたいなので、今の内にということで。
今日はちょうど10巻まで読んだ。
うん、楽しいでござるよ。
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訃報相次ぐ
- 2008年6月 6日 23:35
作家の訃報が相次いだ。
野田昌宏氏逝去。
SF翻訳家・作家であり、日本テレワーク設立に関わり「ポンキッキ」制作に携わり、ガチャピン・ムックの産みの親、というかガチャピンのモデルである。
小学生の頃読んだ、氏が翻訳した「キャプテンフューチャー」シリーズが、SFをそれとして初めて意識した作品であった。
作品自体はもとより、巻末の訳者あとがきに魅せられて密かにその名を胸に刻んだ。
『レモン月夜の宇宙船』というハートフル&コミカルな短編集も好きだった。
『SF英雄群像』の文庫版が出た時も、待ちかねて読んだものだ。
『スターウォーズ』のノベライズも、映画公開のかなり前に発売されたところを本屋で取り寄せんばかりにして読んだし、東映映画『宇宙からのメッセージ』のノベライズも石森章太郎の絵に釣られたということがあるものの、面白く読んだ。
ただその後はあまりいい読者ではなかった。
チャンドラーの翻訳や人気シリーズ「銀河乞食軍団」は結局一冊も読んでいないし、近年のファインタック等も同様だ。
でも、SFマガジンに長期連載されていたエッセイは楽しみに読んでいたかな。
一度だけ本人にお会いしたことがある。
確か自分の車にも乗せた筈だ。
どういうことかというと、学生の頃手伝っていたSFコンベンションのDAINA☆CONにゲストとしてお見えになった時に、スタッフとして接したというだけのことであるのだが。
噂通りのにこやかで気さくなお人柄を実感する一方で、それだけではない鋭さも時折垣間見えた気がする。
ご冥福をお祈りします。
また、氷室冴子氏も同日逝去されたとのこと。
おそらく僕が読んだ唯一のコバルト作家であろう。
『なんて素敵にジャパネスク』『クララ白書』『なぎさボーイ』あたりの80年代前半の作品は、当時の先輩・仲間に影響されて何冊か読んだ記憶がある。
僕はその功績を論じる任にはないが、コバルト文庫、いやこの時代の少女小説を代表する作家であったことは間違いない。
安らかに。
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ベルカとハルをメッタ斬りでねにもつ
- 2008年5月20日 23:34
どこを見てもほとんど悪い評価をみかけないという気がする古川日出男だが、これまで3冊読んで個人的にはいまひとつノリ切れていない。

『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男
2005年上半期の直木賞候補作であり、かなりの評判作。
熱狂的に推す声も多く、実際、賞を取り逃したことを惜しむ記述もあちこちで見かけた。
ちょうど文庫になったので、これは期待して読んだ。
出だし快調。展開も期待できる....、と思いつつ読み進むもどうもなんだかあまり面白くならない。
というより、この文体、リズムがどうも僕と波長が合わない感じ。

『ハル、ハル、ハル』古川日出男
これも実は期待していたのだけど。
さらにダメ。まったく合わない。
ちょっと珍しいぐらいだな、こんな風に思うの。
うーん、まだ読み進むべきでしょうか、他の古川作品。
これまで読んだ中では『サマーバケーションEP』がまずまずよかったかも。

『文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 』大森望×豊崎由美
イヤーブックとなって2冊目。
相変わらずの毒舌振りが絶好調。
選評委員評部分では、もういいじゃん、そんなにいじらなくてもと思いつつもニタニタしてしまう。
お二人の評を一方では信用しつつも、自分自身とは好みの部分で結構ズレがあるかなあ、ということをやっと最近気づきつつあるのは、俎上に載せられている作品をちょっとずつでも追いかけられるようになってきたからだなあ。
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『ダンシング・ヴァニティ』筒井康隆
- 2008年5月16日 23:58

『ダンシング・ヴァニティ』筒井康隆
久々にちょっと唸りましたな。
ひとつの場面が少しずつずらされながら何度も反復しつつストーリーは進行する。
そんな実験的な手法ながら実験のための実験に終わっておらず、様々な意図が見え隠れしつつ、作品に一種催眠的な効果を与えている。
さながらジャズのフレーズが反復するかのように、また何度も同じ夢をみるかのように。
さらに読み手がその反復自体をも楽しめる筆力はさすがといえよう。
これまでの筒井の読者ならば誰もが気付くように、従来の筒井の作品で扱われてきたテーマ、モチーフ、手法が集大成的に顔を出す。
ドタバタ、スラプスティック、歌舞伎、映画、演劇、戦争、疑似イベント、業界内輪ネタ、老い、電脳空間....etc.
それは単なる手癖的なことというより、かなり意図的であるように思うのは、作者のこの作品に賭ける意気込みみたいなものを感じさせられたせいもある。
そのことは作品内にとどまらず、筒井ワールド全体の中における反復、変奏といったことも意図されているように思えてならない。
「新潮」4月号の著者自身による自作解説にも詳しいように、この作品では「反復」に関して徹底的に考察され、あらゆることが試みられているのだ。
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『真鶴』川上弘美/『ギリシア悲劇』丹下和彦
- 2008年4月30日 23:15

『真鶴』川上弘美
かなり評判がよかったので期待していたのだけど...。
相変わらずもやもやっと語られることが時に鋭い切り口を見せて、こちらに迫ってくるという作風なのだが、従来の作品に比べ柔らかい表現が押さえられている分、ごつごつした印象が強めに残る。
それを凄味とみる向きには、傑作かもしれない。
僕は今回はあまりはまれなかったなあ。

『ギリシア悲劇―人間の深奥を見る』丹下和彦(中公新書)
固有名詞のみ目にする機会が多いが、内容そのものにはあまり馴染みのないギリシア悲劇に関してちょろちょろっと知識を入れておこうと軽い気持ちで手にとったのだが、あてが外れた。
33編現存するという悲劇の中から11編を選んで詳細に解説されているのだが、どちらかというと解釈の領域の話がほとんどなので、基礎知識めいた話はあまり出てこない。
たとえば「機械仕掛けの神」なんてタームに関しても特に説明のないまま使われているという具合である。
というわけで、僕のような初心者向けの書ではないのだが、決して難しいわけでもないので、ギリシア悲劇の研究者はああこのようなことをされているのだなあ、ということはよくわかった、という感じである。
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最近読んだ本 補遺
- 2008年4月26日 23:30
このところ読んだ本のうち、まだ取り上げてなかったものから幾つかピックアップして簡単にメモ。
「yom yom 」を久々に買ってつらつら読んでいたのだが、「或る失恋の記録」という一編がなかなか気に入った。(他には、山本文緒の「ネロリ」が良かった。また追っかけよう。)
万城目学『鴨川ホルモー』を読んだときに、森見登美彦の方も読んでおかなきゃと思ってそのままになっていたのだった。
ちょうど角川文庫になってこれが出たところだったので、早速読んでみる。
「yomyom」に載った短編と同じ世界観の話で、京都の大学生活を舞台にしたファンタジー。
今でこそ京都は随分ご無沙汰だが、学生時代はいろいろ縁があって何度も訪れているのでなんだか懐かしい気分に。
高校時代の連れが住んでいたそれこそ四畳半のオンボロな下宿に泊り込んだことも何度かあるし。
ちょっとずつずらした話が4つ繰り返されるわけだが、そうした構成の妙もさることながら、読んでてすんなり馴染む文章であるというのがいいね。
600頁超の絢爛豪華な文章を長い期間に渡ってちょろちょろ読んでいた。
策謀渦巻く宮廷小説とまとめてしまうには、はみ出す部分が多すぎる小説だが、いまひとつのれなかったのはあまりに細切れに読みすぎたせいか。
その割に振り返ると結構好きな話だったり。
いまだ代表作を読んでいない気がする古川日出男。
緊密な文体で突っ走ってるってことなんだろうけど、「どうだすごいだろ」って自分で酔いしれているような作家性がちらついてどうにも入り込めない。
物語の中に〈私〉は見えないのだが、文体に〈私〉というか自意識が濃密に散りばめられているような気がして、息苦しいのだ。
まあ、『ハル、ハル、ハル』も図書館で見つけたら読もうと思ってるのだけどね。
『アラビアの夜の種族』も読まなきゃと思いつつ手を出せないでいる。
小林信彦読み残し救済シリーズ。
育児エッセイという触れ込みだったので、若い頃の自分にはあまり関係ないやと読まずにいたのだが、読んでみると育児エッセイとは名ばかりのいつもの小林エッセイであった。
生まれたばかりの次女の育児ネタを枕にして、やっぱり好きな映画や移り行く東京の話とかを滔々と語っているのである。
ちなみにこれは初めてヤフオクで買った本である。
ヤフオク自体今更ながら初めてなんだけども。
当然ここら辺の角川の小林信彦ものはすべて絶版で、最近はあまり古本屋でも見かけなくなったので、ちょうど安く出品されていたものをゲット。
でもやっぱめんどくさいね。慣れればそんなこともないのかな。
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『笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで』ラサール石井
- 2008年4月24日 23:41

『笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで』ラサール石井(角川SSC新書)
出ていたのは知っていたが、うっかり買い逃していた。
かなり以前、同じ著者の笑いに関する著書を2冊ほど読んで、お笑いに対する情熱と批評性を持った内容に感心していたので楽しみにしていたのだ。
買ってみてわかったのは、そのうちの一冊『笑うとは何事だ!―ラサール石井の平成のお笑い人』が、この本の底本となっていると明記してある。
10年以上前の本で絶版になっているだろうから、それもありかもしれんが。
大幅に加筆・修正、となっているのだが、おぼろげな記憶と比べてみると、分量的には削減の方向ではないだろうか。
とはいえ大幅な改訂であることは確かで、ここ10年程の状況について細かく加筆されているのだが、本人も審査員を務めるM-1に関する詳細なコメントがつけ加えられているのがハイライトかな。
総じて楽しく読めた。
前半がコント赤信号での活動を含めた自分史に重ねてあるため、現場に身を置いていた者としての自慢げな部分がちょっとだけ鼻につくかもしれないが、ま、それもある意味、氏のキャラクターとも云えよう。
何かまったく新しい見方が示されているということでもないのだが、各方面に対して温かい視線を向けつつきっちり批評しているのはさすが。
その分、単純なミス(思い違い)もいくつか目についた。
せっかく見つけたので二つほど指摘しておくと、まずP102の「『ひょうきん族』の後の土曜八時の時間帯に『ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば』が始まり、のちに発展して『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』に変わっていった。」とあるが、『誰かがやらねば』は『とんねるずのみなさんのおかげです』が半年間休止した間のピンチヒッター番組として登場したので、この時点では木曜九時の放映である。ここでの実績が土曜8時の『やるやら』に繋がったというのは事実である筈で、そのことはそのまま番組タイトルにも表れている。
次にp135のM-1の2003大会を論じた部分で、フットボールアワーを評して「後藤のボケは冴え渡り」とあるが、これは明らかに「岩尾」の間違いであろう。
校正の難しさに思い至ります。
とはいえこれは例外的で、他の大部分は比較的正確に書かれていると思われる。
さくっと読めるので、笑芸好きの方は読んでみては。
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